ITストラテジスト試験を受けようと考えたとき、気になるのが「合格までにどのくらい勉強すればいいのか」ではないでしょうか。
「100時間くらいで合格できる?」
「半年くらい勉強する必要がある?」
「応用情報に合格していれば、勉強時間を短縮できる?」
必要な勉強時間を調べても、人によって数字が大きく異なるため、結局どのくらい勉強すればいいのかわからない方も多いと思います。
結論からいうと、ITストラテジストの勉強時間を「○時間」と一律に決めることはできません。
IPAは合格に必要な標準学習時間を公表しておらず、ITの基礎知識、実務経験、記述・論述問題への慣れなどによって必要な勉強時間は大きく変わるためです。
この記事では、ITストラテジストの勉強時間について、前提知識別の考え方や科目ごとの時間配分、働きながら合格を目指す場合の学習スケジュールまで解説します。
※本記事の試験制度に関する情報は、2026年8月時点のIPA公表情報をもとにしています。現行の試験制度は2026年度の試験実施をもって終了し、2027年度から新試験制度へ移行する予定です。
ITストラテジストの勉強時間はどのくらい?
ITストラテジストの勉強時間について、IPAが公式な目安を示しているわけではありません。
そのため、「合格には必ず300時間必要」といった形で考えるのではなく、自分の前提知識と苦手分野から必要な学習量を考えることが重要です。
インターネット上ではさまざまな勉強時間の目安が紹介されていますが、前提条件によって必要な時間は大きく変わります。
たとえば、
・ITの基礎知識がどの程度あるか
・応用情報技術者試験などの学習経験があるか
・記述式問題に慣れているか
・論述式問題を書いた経験があるか
・IT戦略や経営に関する実務経験があるか
といった要素によって、必要な対策は変わります。
そのため、「平均○時間」という数字だけを見るよりも、自分がどの科目に時間をかける必要があるのかを考える方が現実的です。
ポイント
ITストラテジストには「全員に共通する必要勉強時間」はありません。
時間そのものより、現在の知識・経験と合格に必要なレベルとの差を把握し、科目ごとに必要な対策を考えることが重要です。
前提知識別|ITストラテジストの勉強時間の考え方
ここからは、受験前の知識や経験によって、どのように必要な学習量が変わるのかを考えてみましょう。
応用情報技術者試験に合格している人
応用情報技術者試験に合格している人は、ITストラテジストの学習を比較的進めやすいと考えられます。
ITに関する基礎知識がある程度身についているため、科目Aの基礎からすべて学び直す必要性は低くなります。
その分、
・科目A-2の専門知識
・科目B-1の記述対策
・科目B-2の論述対策
に時間を使いやすくなります。
特に重要なのが科目B-2です。
知識を覚えるだけではなく、問題文に合わせて自分の経験や想定事例を整理し、長文として論理的に説明する練習が必要になります。
そのため、応用情報に合格している人でも、科目B対策には十分な時間を確保しておきたいところです。
IT実務経験はあるが高度試験が初めての人
IT関連の仕事をしている人は、問題で扱われるシステムや業務のイメージを持ちやすいというメリットがあります。
一方で、実務経験がそのまま試験対策になるわけではありません。
特にITストラテジストでは、技術そのものだけでなく、
「経営や事業上の課題に対して、ITをどのように活用するか」
という視点が求められます。
技術的な知識に自信がある人ほど、科目B-1・B-2で求められる「経営とITを結びつけて説明する力」の対策を意識するとよいでしょう。
ITの基礎知識から学ぶ人
ITストラテジストは高度試験の一つなので、ITの基礎知識がほとんどない状態から短期間で合格を目指すのは簡単ではありません。
科目A対策に加えて、IT戦略、経営戦略、システム企画などについても理解する必要があります。
さらに科目B-1・B-2の記述・論述対策も必要です。
この場合は、単純に「ITストラテジストの勉強を何時間するか」だけでなく、その前段階となるIT基礎知識の習得時間も含めて学習計画を立てる必要があります。
科目別に勉強時間の配分を考える
ITストラテジストでは、すべての科目に同じだけ時間を使う必要はありません。
自分の得意・不得意によって学習時間の配分を変えることが重要です。
科目A-1|基礎知識を確認する
科目A-1では幅広いIT知識が問われます。
すでに応用情報や他の高度試験を勉強した経験がある場合は、過去問を解いて苦手分野を確認し、必要な部分を復習する方法が効率的です。
反対に基礎知識に不安がある場合は、ここにある程度の時間を確保する必要があります。
科目A-2|ITストラテジスト特有の知識を重点的に学ぶ
科目A-2では、ITストラテジストに関連する専門的な知識が中心となります。
過去問を解きながら頻出テーマを確認し、わからない用語や考え方を補強していくのが基本です。
科目A-1にある程度対応できる人であれば、科目A-2を優先して学習すると効率的です。
科目B-1|記述問題は「読む→書く」を繰り返す
科目B-1では、問題文を読み取って設問に記述式で回答します。
知識を覚えるだけでは十分ではなく、
・問題文から必要な情報を探す
・設問が何を求めているか理解する
・指定された文字数で回答する
という練習が必要です。
最初から時間を測る必要はありません。
まずは問題文と解答例を照らし合わせながら、「なぜこの回答になるのか」を理解することを優先しましょう。
科目B-2|論述対策は早めに始める
ITストラテジストで特に対策に時間を使いたいのが科目B-2です。
論述式問題では、テーマに沿って長文の答案を作成する必要があります。
そのため、
・過去問のテーマを確認する
・論文に使える事例を準備する
・文章の構成を作る
・実際に答案を書く
・書いた答案を改善する
という流れで練習する必要があります。
直前期になって初めて論文を書くのではなく、学習の早い段階で一度答案を作ってみることをおすすめします。
時間を配分するときのポイント
IT知識に自信がある人でも、科目B-2まで後回しにするのはおすすめできません。
早い段階で一度論文を書いてみると、自分に不足しているものが「知識」なのか「事例」なのか「文章構成力」なのかを把握しやすくなります。
働きながら合格を目指すなら何か月必要?
会社員がITストラテジストを受験する場合、勉強時間の総量だけでなく、毎週どの程度の時間を確保できるかも重要です。
仮に150時間を一つの学習計画として設定した場合、単純計算すると、
・週5時間の勉強 → 約30週間
・週7時間の勉強 → 約21週間
・週10時間の勉強 → 約15週間
・週15時間の勉強 → 約10週間
となります。
ただし、「150時間勉強すれば合格できる」という意味ではありません。
あくまで、自分で設定した総学習時間を週単位の勉強時間に落とし込む方法の例です。
仕事をしながら勉強する場合は、平日に長時間勉強しようとするより、
・通勤時間
・昼休み
・帰宅後の30分
・休日のまとまった時間
などを組み合わせる方が継続しやすいでしょう。
3か月でITストラテジストに合格できる?
前提知識がある人であれば、3か月程度の短期集中で合格を目指すことも不可能とはいえません。
ただし、誰にでも3か月あれば十分というわけではありません。
特に、
応用情報レベルの知識がある+一定の実務経験がある+毎週まとまった学習時間を確保できる
といった人ほど、短期間の学習計画を立てやすくなります。
一例として3か月で対策するなら、次のように段階を分ける方法があります。
1か月目|試験全体を把握して科目A・B-1を進める
最初に過去問を確認し、自分の現在地を把握します。
科目Aの知識を確認しながら、早い段階で科目B-1にも触れておきます。
同時に科目B-2の過去問にも目を通し、「どのような論文を書く必要があるのか」を確認しておきましょう。
2か月目|科目B-1とB-2を重点的に対策する
2か月目からはアウトプット中心に切り替えます。
科目B-1の過去問演習を繰り返しながら、科目B-2では論文に利用する事例を整理します。
実際に論文を書き始めるのもこの時期です。
3か月目|本番を意識した演習を増やす
最後の1か月は、本番を意識した演習を増やします。
科目Aでは間違えた問題を中心に復習し、科目Bでは時間を意識して答案を作ります。
新しい教材を増やすよりも、それまでに学習した内容の完成度を高めることを優先しましょう。
勉強時間を減らすために意識したいこと
限られた時間で合格を目指すなら、「たくさん勉強する」だけではなく、勉強する内容を絞ることも重要です。
最初に過去問を確認する
勉強を始める前に、一度過去問を見ておきましょう。
最初から解けなくても問題ありません。
試験でどのような知識や回答が求められるのかを確認してから勉強すると、必要な学習内容を判断しやすくなります。
IPAでは、ITストラテジストを含む筆記試験について、過去の問題冊子・解答例・採点講評を公開しています。
IPA「過去問題」
得意な科目に時間を使いすぎない
すでにIT知識がある人が科目Aばかり勉強しても、全体として効率的とは限りません。
過去問を解いて十分に対応できるのであれば、科目B-1やB-2に学習時間を移しましょう。
科目B-2を後回しにしない
論述式問題は、知識を覚えただけでは対応しにくい科目です。
論文を書くことに慣れていない人ほど、早めに対策を始める必要があります。
まず1本書いてみて、自分がどこで詰まるのかを確認するだけでも、その後の学習計画を立てやすくなります。
独学と通信講座はどちらが効率的?
ITストラテジストは独学でも合格を目指せます。
IPAが過去問や解答例、採点講評を公開しているため、自分で学習計画を立てて継続できる人であれば、独学も有力な選択肢です。
一方で、
・何から勉強すればいいかわからない
・科目B-2の論述対策に不安がある
・仕事が忙しく学習時間を効率化したい
・教材を自分で選ぶ手間を減らしたい
という人は、通信講座を利用する方法もあります。
たとえばスタディングでは、ITストラテジスト向けのオンライン講座が提供されています。
スタディング「ITストラテジスト講座」
ただし、講座を利用すれば必ず短時間で合格できるわけではありません。
自分で学習を進められるなら独学、学習の順番や教材選びまで効率化したいなら通信講座というように、自分に合った方法を選びましょう。
2026年度に受験するなら学習開始を先延ばしにしない
2026年度のITストラテジスト試験は、CBT方式により前期に実施されます。
また、IPAは現行試験制度について2026年度の試験実施をもって終了し、2027年度から新試験制度へ移行する予定としています。
そのため、現行制度のITストラテジスト試験で合格を目指すのであれば、2026年度の試験日程から逆算して学習を進める必要があります。
IPA「ITストラテジスト試験」
実際にスタディングのITストラテジスト講座を受講して感じたメリット・気になった点については、以下の記事で詳しくまとめています。
スタディング ITストラテジスト講座を受講中の感想|メリット・デメリットと向いている人を解説
2026年度の試験制度や日程については、以下の記事でも詳しく解説しています。
まとめ|勉強時間より「自分に何が足りないか」を把握しよう
ITストラテジストの合格に必要な勉強時間は、人によって大きく異なります。
IPAが公式な標準学習時間を公表しているわけでもありません。
そのため、「200時間勉強すれば合格できる」と考えるのではなく、
・IT基礎知識
・ITストラテジスト分野の専門知識
・記述問題への対応力
・論述問題への対応力
のうち、自分に何が不足しているのかを確認することが重要です。
特に科目B-2の論述対策は、知識を覚えるだけでは対応しにくいため、早めに一度答案を書いてみることをおすすめします。
ITストラテジスト自体の難易度や合格率について確認したい人は、以下の記事も参考にしてください。
まずは過去問を確認して自分の現在地を把握し、試験日までに使える時間から逆算して学習計画を作ってみましょう。


